大和ミツバチ養蜂場の環境「夏」

木陰の少ない夏の養蜂場は、熱さ対策が大変です。
理想的には、腰の高い桜などの落葉樹の幹の横で、朝日が巣箱の入り口に当たるように南東方向に置きます。
しかし、蜂場のロケーションなどによって、考慮しなければならない要素があり、それに応じて最適な環境作りを目指します。
移動するセイヨウミツバチ養蜂と異なり大和ミツバチ(ニホンミツバチ)の養蜂は、定置養蜂が基本ですからその環境は、生育や採蜜、トラブルを防ぐためにも重要な養蜂技術の要素となります。

◎想定されるトラブルと主な対応

(1)寒さで、ハチの体力を奪い、活動を阻害する。
対応)→強い風がまともな当たる場所、向きは避ける。または、樹木を植栽する。
(2)熱さで、ハチの体力を奪い、活動を阻害する。
対応)→直射日光が当たる場所、向きは避ける。落葉樹の下や、モノなどで影をつくる。
(3)熱さで、巣の蜜蝋が溶けて脱落する。
対応)→(2)の対応と同じ。また、巣箱の板を厚くする。
(4)風で巣箱が転倒する。
対応)→(1)の対応と同じ。また、巣箱の重しを多くする。
(5)巣門が草木などでふさがれる。
対応)→石垣や擁壁の上など、四季を通じて草木蔓植物などによって阻害されない場所に設置する。
腰の高い箱の上に置く。草刈りをこまめに行う。
(6)クモや、ヤモリ、カマキリ、スズメバチなどによるハチの食害。
対応)→(5)の対応と同じ。スズメバチ捕獲のためのトラップの設置をおこなう。
(7)スムシ(蛾の幼虫)による、巣の食害
対応)→こまめに巣内を掃除する。巣箱台を交換する。
(8)巣箱の盗難
巣箱や、中の蜜のみを盗まれる場合があります。
対応)→見回りを頻繁にするか、巣箱にマークを入れておく。
巣箱にgps 発信器を設置する方もいます。
車での搬入搬出が便利な場所は、盗難にも注意が必要となります。
私も今年、沢山焼き印を押した蜂箱を2個盗難に遭いました。
ニホンミツバチを飼育する人が盗難するなんてーとショックです。
善人だけが、ミツバチの飼育をしていない・・・考えてみれば当たり前ですが残念です。
後、養蜂場の選定いついては、地域の蜜源植物の豊かさ等を考慮します。
蜂箱や、蜂場の環境についてよく聞かれるのですが、要は人間の住居環境と同じですと答えるようにしています。
ハチも人も快適な環境は、その生物を活き活きと活動させ、成長させます。

◎巣箱の夏の暑さ対策

上記は、一般的な対応です。では、具体的にどうするかの事例が、今回の(2)(3)への対応です。
今年の夏は暑いですね。
ハチの巣箱の出入り口は小さいですから、熱が逃げにくく、直射日光が当たると外気温よりも遙かに高くなります。
蜂たちは、巣門の入り口に並んで、一日中ブーッと羽ばたかせて換気しています。
それでも、温度が下がらない場合は、巣の外壁を包むようにして箱を冷やそうとします。
私は、板を立てかけて直射日光を防ぐようにしています。
スダレを使う場合もありますが、風が吹くと揺れて巣箱に当たったりすることから限定した状況で使用します。
長期的には、樹木などを植栽して影を作りたいのですが、養蜂場は借地が多いのでそうもいきません。
地域によって四季の変化が異なります。
さまざまな状況に応じて自分が棲む?と思って考えてみるのがいいのではないでしょうか。