バリ・スタイル養蜂(2)ミツバチの楽園

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◎マンゴーの木にぶら下がった蜂箱

バリ島北部一帯は、熱帯の果樹園地帯です。私が訪れた東洋ミツバチの養蜂場は、海辺のそばの約1,000坪ほどのマンゴーの果樹園でした。
10mほどの背丈のマンゴーの木の森です。そのマンゴーの木に、椰子の木で作った蜂箱が100個ほどがヒモでぶら下がっています。

日本での二ホンミツバチ養蜂では、捕獲箱(待ち箱)や飼育箱を一ヵ所に100個も集中して置くことはありません。
養蜂場は、2キロ以上距離を置いた複数の蜂場に分散して配置します。
一ヵ所の蜂場に置く蜂場個数は、多くても30箱ほどでしょうか。
蜂の飼育を行うには、年間を通じて餌となる蜜源植物が必要ですから、地域の蜜源量(ミツバチの食糧)に応じて、棲息できる蜂群数も限られるのです。
それによって設置する蜂箱数を調節します。

◎なんと、ミツバチ群の捕獲率90%

東洋ミツバチの養蜂といっても、野生種のミツバチを捕獲して、飼育してハチミツを採るのですから、最初は、蜂を捕獲しなければなりません。
バリ島(インドネシア)の気候は、10月から3〜4月までの「雨季」と、4〜5月から10月までの乾季がある熱帯モンスーン気候で、年間の平均気温は28度の常夏です。
マンゴーなどの果樹の多くは、11月頃が出荷の盛期ですから、雨期が終わった6月から7月頃に花が最も多く咲きます。
花が咲く頃に合わせて椰子の木の空巣箱(待ち箱)を、マンゴーの木に100個ぶら下げます。
なんと、その内90個(90%)の巣箱に野生のミツバチ群が入って営巣するとのことです。
これは凄い確率です。
私の日本での経験では、充分に準備された蜂箱と設置場所に置いた場合の捕獲率は、場所にもよりますが平均20〜30%です。
90%の捕獲率と言うことは、飼育して年越し(家畜化)をする必要がないということです。
ほぼ同じ量が、毎年新たに捕獲できるのですから・・・。
それに集中して置いているのですから、この地域の潜在的な蜂の棲息密度は計り知れません。
まさに、東洋ミツバチの楽園(パラダイス)といえるでしょう。

◎原始的な全撤去の採蜜方法

椰子の木蜂箱は、直径(外径)が25センチほどで、長さが50センチほどです。片側は完全に閉じていて、もう一方は開閉できるふたがあり、出入り口の穴が開いています。
採蜜は、雨期が始まる前の10月ごろに行います。
採蜜方法は、巣箱の形状、容積が限られているので、巣を全部取ってしまう原始的な方法です。
そして、絞って、布で濾してミツを取り出します。
巣が無くなった後、蜂たちは居残る場合もあるようですが、ほとんどの蜂は、どこかへ逃げていなくなるとのことです。
「雨期の間は、蜂たちは山に帰っている・・・。」と養蜂者はいっていましたが、山も雨期があり、その間の蜂たちの生態はどうなっているのでしょう?
非常に興味がありますが実態は不明です。

◎ヒモでぶら下げる巣箱

椰子の木蜂箱は、ビニール製の一本のヒモでマンゴーの木の枝にぶら下げられています。
ヒモの端は幹の手の届くところに結んであって、必要なときはヒモをゆるめて蜂箱を下におろせるようにしています。
風が吹くと巣箱が揺れて回るのですが、蜂たちは慣れているのか問題なく出入りしています。

ヒモでぶら下げる理由として、
雨期のある地域では地面の近くは湿度が高く、また地上に置く場合は台が必要になります。
また、大きな蟻がいること、そして、海辺の近くでもマンゴーの森の中であることからも風の影響が少ないなどの理由から、ヒモでぶら下げる方法が取られるようになったと考えられます。
日本では観られない「ぶら下げ方法」ですが、日本でも風の影響が少ない場所で実験してみようと思います。

〈参考〉
ミツバチは、大きく分けて、一般養蜂業の家畜蜂の「セイヨウミツバチ」と野生種の「東洋ミツバチ」の2種に分けることが出来ます。蜂の大きさも習性も養蜂の方法も、ハチミツの味も異なります。また、大和ミツバチ(二ホンミツバチ)は、東洋ミツバチの亜種です。

つづく