豊かな日本の森の象徴「日本一のスダジイの巨木」

2016年の6月下旬に島根県松江市八雲町の志多備神社に、日本で一番大きな「スダジイの巨木」を観に行きました。
田舎の村の物静かなたたずまいの神社の右奥で、出合えます。
掲示には、幹周りが11.4m、樹高約20m、推定数百年、日本一のスダジイの巨木と書かれています。ブナ科シイ属の常緑広葉樹です。県指定・村指定の天然記念物です。
西日本では、ツブラジイと共に自然林を代表する樹種です。
イタジイやナガジイとも呼ばれます。

私が住むそばの春日山原始林は、5月頃にスダジイの花が咲き黄金色に山を染めます。
自然林の証拠とも言えるブロッコリーのような樹形のスダジイの風景です。
昔は、西日本を中心として誰もが知っている景色だったのでしょうが、今は「そんなの見たことないなー・・・」と言われる方がほとんどでは無いでしょうか?
そのこと自体が自然林が激減している証拠とも言えます。

栗のようなブラシのように長細いスダジイの花を、大和ミツバチを代表とする森に棲むポリネーター(送粉者)が授粉してドングリを実らせます。
スダジイの実は、縄文時代から人々は採集し、食べていたこと間違いないくらいアクが少なくそのままでも充分食べられるドングリです。炒って食べると、ナッツのような感じですね。
奈良公園内では、スダジイとツブラジイの美味しいドングリは、あっという間に鹿に食べられます。なかなか、落ちているのを探せません。

Bee Forest Clubでは、「ミツバチと森をつくる」BeeForest活動の一環として、スダジイとツブラジイの実(種)を植えて苗をつくり、各BeeForestに植栽を進めていく計画です。
志多備神社の入り口には、もう一つ大きなスダジイの巨木がありました。
鎮守の森は、スダジイの森です。
昔は、神社の周りの山々に動物やミツバチなどたくさんの生物がいっぱいいたのでしょう。
現在では、植林と竹林が迫ってきているようでが、日本一のスダジイの存在は、仕来りや伝統など、村の昔からの時の流れを脈々と引き継いで、村が今も生きている様に感じました。
※スダジイの実は、奈良公園で撮ったものです。