バリ・スタイル養蜂(3)椰子の蜂箱とハチミツ

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マンゴーの果樹園の中に、東洋ミツバチ養蜂の作業小屋があります。
家族総出で果樹と養蜂を行っています。
のんびりとした作業風景は、やはりバリ島の雰囲気です。
島には、椰子の木がふんだんにあります。
誰が考えたのか、椰子の木でいとも簡単に蜂箱を作っていました。
一本の椰子の木で、10〜20ヶ巣箱が作れます。

◎魔法の木「椰子」

バリ島では標高の高い山岳、高原地域以外は、どこでも椰子の木が生育しています。
高さは約15mあります。寿命は60〜80年と人間と同じくらいです。
成長すると毎年100〜200個の実を付けます。
熟した実が自然に落ちて1年で芽が出て、5〜6年で花を咲かせて実を付けはじめます。
この島には、椰子の木が自生して育つ循環がそこにはあります。
ちなみに、バリ島では椰子の実が自然に落ちて、それにあたって死ぬ人が年間数十人あるそうです。
バリの人は、椰子の木の下を歩かないか、歩くときは充分注意するそうです。

椰子の木は、バリ島の生活のほとんどの場面に使われています。
幹は住宅の木材です。葉は屋根材です。
若い実を採って中の椰子ジュースを飲みます。熟した実からはココナツ・ミルクを取り、それを煮詰めてココナツ・オイルを取ります。
乾燥させた果肉は化粧品や石けんの材料のコプラになります。
堅い実の殻は食器や容器になり、また焼いて椰子炭として燃料にします。実や木の皮の繊維もよく燃える燃料になります。
木の皮の繊維はよって紐にして敷物などに加工されます。
ロンタル椰子、ジャコー椰子の花弁からはトゥアック(Tuak)というお酒を、そして蒸留して焼酎のアラック(Arak)を作ったりしています。
アルコールのトゥアックを煮詰めて椰子砂糖(パーム・シュガー)を作ったり・・・。
堅い実を彫刻したりと・・・椰子の木は、捨てるところがないといわれるほど活用されているのです。
そして、椰子の木が「蜂箱」にもなったのです。

◎採蜜とハチミツの味

養蜂の話をひと通り聞いた後に、ハチミツを購入しました。
ビンはリユースです。
500ccで約800円ほどでした。
ハチミツは見た目、やや濁った感じです。採蜜の段階で、巣を手で絞って蜜を取りだしているのでしょう(注)。
風味は、日本ミツバチでもセイヨウミツバチ(日本での)の蜜の味とも異なります。言うなれば、トロピカルなハチミツの味です。
日本ミツバチは百花蜜と言われるように、四季のある日本の多種多様な自然植生によって様々な花から蜜を集めて自然にブレンド熟成します。しかし、バリ島のような熱帯地域では、開花期は長いのですが花咲く植物数は限られています。
百花蜜と言うよりも、数花蜜、もしくは数十花蜜といった感じです。
主観ですが、バリ島の東洋ミツバチの蜂蜜の味は、一種類の花に集中して蜜を取るセイヨウミツバチのハチミツと、日本ミツバチ百花蜜の中間の味と表現しておきます。

訪問したバリの養蜂場では、ハチミツを使うエステティックのお店から注文が沢山来ているので、来年は、隣のマンゴー畑も借りて養蜂を拡大するとのことでした。
このミツバチの楽園では、一ヵ所でどれだけのハチ群数を飼育出来るんだろうか?
それは、蜜源環境を推し計ることにもなります。そして、雨期のミツバチの生態はどのようなものか・・・バリ島に新たな興味と疑問が残った訪問でした。

その後、日本に帰ってバリ島で買った500ccのハチミツをよく見ると400ccのビンだった。
そのことをバリ島の知人に言うと、バリでは当たり前の商習慣?で、購入(取引)する場合、金額や、数量、期日など、まともに信じちゃダメですよ!って・・・相手を見ながら適当に決めていることが多いとのこと・・・これも、おおらかなバリ・スタイルかな(笑)。

(注):東洋ミツバチは、採蜜するにはタイミングが特に大切です。
幼虫が巣の中にいる場合、全撤去した巣を絞ると幼虫なども一緒に絞られることになります。これも滋養によいと言われる方がおられますが、味覚や保存中に発酵したりして問題が出る可能性があります。
絞らないで自然に垂れる方法(垂れ蜜製法)は、手間と時間がかかり効率は悪いのですが、純粋のハチミツを取り出すことが出来ます。
巣を全撤去して採蜜する場合は、働き蜂が花粉を運んでこないかを確認する必要があります。幼虫はハチミツと花粉を餌として育ちます。ですから蜂箱へ花粉を運ぶハチを見かけたら巣に幼虫がいることを示しているのです。
花粉運びが無くなってから採蜜する・・・このタイミングが大切なのです。