AgriArt 「汝とは、汝の食べた物そのものである」

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You are what you ate.

この言葉は、西洋の諺です。
ちょっと考えてみれば、当たり前のことですが、日常生活の中で忘れ去られている場合が多いのも事実です。
しかし、その意味を考えれば考えるほど恐ろしい重要なキーワードです。
魚屋さんの売っている魚は、遙か彼方の海で去年採れた冷凍物の鮭やカニ、タコ、そして、近海の魚が捕れなくて深海魚や根魚と養殖の魚が並びます。
山では、松の木やコナラが枯れて、イノシシや鹿、猿、熊までが麓の村まで餌を求めて、農作物を荒らしています。
スーパーに行くと、真空パックされたお漬物の裏の表示を見ると保存料のソルビン酸をはじめ、少量では安全と言われる多くの添加物が並びます。
日本では、特に戦後以降、農薬を初め多くの化学系薬品や添加物が膨大に使用され続けていて、「人体実験」を続けているのです。
その症状としてアトピーや、様々な症状があると言われていますが、因果関係が立証されることは今の科学では難しいのです。
しかし、明らかなのは「汝とは、汝の食べた物そのものである」という真実です。
数十年前に、この言葉の意味を科科学的に証明したのがルドルフ・シェーンハイマー(Rudolf Schoenheimer、ドイツ/アメリカ合衆国)という科学者です。
シェーンハイマーは、体内に取り込まれた食べ物が分子レベルに解体され、それの分子が瞬く間に身体の構成成分となっていること、そして、私たちの肉体は、その分子の日々の入れ替えで生きていることを「動的平衡論」として新たな「生命観」を明らかにしたのです。
人間の身体は、生物学的に細胞が日々死んで、日々再生して平衡状態を保っているということです。
これは仏教でいう「無常」の思想が、動物全てに当てはまることを実証しています。

現在、我々の状況は、人間が作った社会システムと、経済価値からもたらされた水を含めた「食物」で構成され「汚染された肉体」そのものなのです。
例えば、※福岡(2009)が指摘しているように、ほとんどの食品に使用されているソルビン酸は殺菌作用があるわけですが、食品が腐りにくい代わりに、それを食すると人間の腸内細菌も殺菌されてしまう。人間の腸内細菌は、強いのですぐに再生されますが、肉体は常にダメージを受けていることになります。そして、そのようなストレスのある状態が長期間続くと肉体が、病気など様々に反応しないはずがない・・・という指摘です。
これと同様の薬品が数多く食物中にあることを想像すると、「少量では大丈夫」という化学薬品や添加物等の評価が全く想定していないことが進行していることは、間違いのない事実として理解できます。

農業における、自然農法や有機農業、無農薬農業、慣行農業・・・、また漁業における漁と養殖漁、そして、それらの加工方法、料理方法などを考えるとき、「汝とは、汝の食べた物そのものである」という「最も基本的なことを基準」に捉えてみてはどうでしょうか。
そうすれば、「食」の大切さの本質と、上記の現象に対して反作用として起きている社会現象の重要性を理解できると思います。
自分が食べる物が、「あなた自身」であることを意識しなければ成りません。
私が、自然農法を選択し、自分たちで加工して「食物を作って」自給自足的に生きようとする大きな理由のひとつは、そこにあります。

※福岡伸一(2009)「動的平衡」木楽舎