AgriArt「溝掘り」00:不耕起自然農法でのお米づくり

田植えの環境を整える

田んぼに水を溜めて、水稲栽培を行うのですが、その時重要なのが田んぼの水漏れを出来るだけ少なくすることなんです。
自然農法や慣行農法も同じですが、農作業の半分以上は、このような田畑の管理、水路、排水の管理、そして鹿やイノシシの獣害防止作業です。
お米は、田んぼの水管理環境(畦や水路、ため池など)と獣害を防止が整っていれば、畑作よりも手間いらずかもしれません。
ところが場所に寄りますが、私たち夫婦のように、休耕田を借りる場合は、得てして条件の悪い場合が多いのです。
環境が整った田畑を農家は皆知っていますから、休耕田になった時点で借り手がすぐに現れるからです。
初めて田んぼを借りてお米作りを行う場合、田んぼのこのような環境を考慮しないと行けないのですが、
なんせ農家の新米は、そんなこと分からないですから・・・アドバイスも聞き流されてしまいます。
稲作を辞めていくほとんどの原因が、田んぼの環境管理が出来ないからというものです。
初めての農業や、慣れない米作りをはじめる場合、農家の先輩にこの田んぼの環境を必ずお聞き下さい。

◎田植えの排水処理〈溝の移動〉

ところで、自然農法の不耕起田んぼの流儀のひとつですが、畦の内側に溝を掘ります。
そして、田んぼの中にも、5mほどの間隔で溝を掘ります。
この溝は、裏作に麦を植える場合に重要です。
麦は、田んぼのじめじめした多湿を好まないので、排水を容易にするために溝を掘るのです。
また、溝は保水の役割もあります。
不耕起の田んぼは保水量が少なくなります。歩いて、少しへこむ程度の田んぼですから夏場の水を維持するために役に立ちます。
そして、溝があると多様な生物に出会います。
溝から湧いて出るように、カエルや水生昆虫、トンボや蜘蛛などなど、水草もいろいろな種類が増えてきます。
溝がないと、水が減ったときに田んぼがすぐに乾いてしまうので、生物たちが棲みにくくなるのですね。
4年ほど畦の内に溝を掘った状態で、米作りをしていたのですが、畦に添った溝は、畦に水がしみ込みやすくなります。
私たちの田んぼは、春日山原始林の素晴らしい水をそのまま引き込めるのですが、山が低いため毎年、渇水気味になります。
そこで、水持ちを良くする工夫として、溝を畦から1m20cm話して作り替えることにしました。現状の田んぼの溝は、だいぶ埋まっていますが、水は少し溜まっています。
このように溝を掘った田を見たことが無いのですが、理屈から言えば、田の水が畦に接する面積が少なくなるので、保水力は高まるはずです。また、自然農の場合は手で田植えも稲刈りも行いますから、溝の位置はあまり作業には関係ないんです。
機械を入れる場合は、このようなやり方は難しいと思います。
全部で100m以上ありますが、一度やれば何年もそのままで使えますから、・・・スコップでえんやらどっこいと頑張りました。
これで、後は田植えの時に「畦塗り」をすれば環境はばっちり!となるはずです!?