AgriArt「赤い田んぼ」11:不耕起自然農法でのお米づくり

真っ赤な田んぼ「アゾラ」

6月下旬の多田植えから約一月が経ちました。7月下旬です。

今年も「真っ赤な田んぼ」になりました。
シダ科のオオアカウキグサ(アゾラ)が、繁殖して田んぼを被っています。

昨年の今頃は、緑色と赤色が混在してましたが、今年は赤くなるのが早い。アゾラは、田に養分の多い場合は緑色ですが、養分が少なくなると赤くなります。というコトは、今年の田んぼは去年よりも養分が少ない状態ということになりますが、・・・しかし、アゾラにはいろいろな効用があります。

◎アゾラは雑草か

アゾラは、俗に言う「雑草」です。これが田んぼいっぱいに広がるわけですから、雑草だらけの田んぼと言うことになります。
雑草を嫌う農家は、当然このアゾラも嫌います。
その理由として、稲の栄養分を奪われて生育を阻害する。
また、水中の酸素濃度が低くなることや、水面を被うため水温が上がらず、稲の分岐(株分かれ)が滞るなどの理由です。
そのために、ほとんどの農家は、田植えと同時に除草剤と肥料を蒔くのです。
そうするとアゾラは発生しません。
すっきりとした幾何学的に苗が並ぶ美しい?!生物も少ない田んぼに仕上がります。

◎アゾラを身方に

農薬をあまり使わない戦後の農業では、アゾラは田んぼには当たり前に存在していたと言うことです。
アゾラの利点としては、
・水面を被うので、日光を遮断し雑草の繁茂を押さえる効果がある。
・田んぼのカリや空気中の窒素成分などの養分を吸収して、アゾラが分解するときに田んぼに返される。
・水質汚染除去作用がある。
など、アゾラには多くの機能があることが分かってきています。
私の自然農法では、意図的にアゾラを活用することは無いのですが、現在では、アゾラを研究して、新たな農法(?)に積極的に使おうとする動きがあります。アゾラを餌にしようとする合鴨農法などです。

◎アゾラは、絶滅危惧種

真っ赤になった田んぼの原因を調べている内に、いろいろとアゾラのことが分かってきました。
アゾラは、そのデザインされた形態や、ウロコ模様に繁茂した水面、赤い色彩、水面とのコントラストなど、毎年違った、美しい田んぼ風景を創ってくれます。
自然は同じ状況を繰り返すことはありません。
この変化も自然に任せる農法の楽しさです。
ちなみに、アゾラは、「但馬型」と「大和型」の二つの型が存在しており、私の田んぼは「大和型」です。
基本的に赤くなりやすいようです。
なんと、アゾラは国の絶滅危惧種に指定され、100年後には絶滅するであろうと推定されています。そのために、各地でアゾラそのものを保護・増殖する活動が行われているとのことです。
知らぬ間に、我が家の田んぼは絶滅危惧種で一杯になっていました。
「何もしていない」からでしょうか!