AgriArt〈ひと粒の米〉〈ひと株の稲〉〈一枚の田んぼ〉

生きることの意味、作ることの意味

★どれだけの広さに、どれだけの稲を作るかを考える

皆さん、自分が年間に食べているお米の量をご存じですか?自分たちが食べるお米の量を想定しなければ、作らなければならないお米の量が分かりません。そこで、まず自分たち夫婦で食べる年間の白米の量を計算しました。朝食はパンを食べたりしますので、2人で一日お茶碗5杯ほどです。(実際は、玄米を食べるのが多いです)2人分の一年間のお米の量は、5×365=1825杯となります。そして、子供や友人に送るお米は、約1.5人分として、1825杯/2×1.5=約1369杯合計すると、1825杯+1369杯=3194杯で、だいたい3200杯と計算しました。3200杯のお米って、さてどれくらいの量か皆さんイメージできますか?そこで、お米を計ってみました。白米1合の量でお茶碗に軽く2杯です。また、質問ですが、皆さん、お茶碗一杯にどれくらいのお米の数が入っているかご存じですか?・・・約3000粒ほどです。お茶碗の大きさや、お米の大きさによって違いますが、大体の目安です。そこで、自分で作った籾付のお米(ヒノヒカリ)を実際に数えてみました。お茶碗、手で計って・・・〈2枚の写真〉は、どれも3000粒の量です。重さを量ると約85gでした。これが、目安ですがお茶碗一杯の白米の量です。

実は、この3000粒の籾付のお米は、1株の稲の量に相当します。株にもいろいろありますが、大体2500〜3000粒と言われています。実際に幾つかの稲の株の籾を数えましたが、大体同様の結果です。即ち、1株のお米が、一杯のお茶碗に相当すると言うことですね。ですから、我が家で必要な稲の株数は、3200株必要と言うことです。それを基に計算すると、約120〜130坪の田んぼの広さが必要で、またその広さで出来ると言うことになります。これで、どれだけの広さに、どれだけの稲を作るか、大体の目安が出来ました。自然農の場合、稲を植える場合、1本植えします。1粒の種から3000粒になるのですね。そして、我が家で必要なお米の量が、お茶碗の約3200杯ですから、ほぼ、1本植えした稲からとれる3000粒のお米を、植えた量になると言えます。

★大人が食べるお米の量と田んぼの広さの関係

昔は、大人が1回に食べるお米の量を1合といわれていました。1日に3合です。1年間に、365日×3合=1095合(約1000合)を食べる計算です。昔は、1石(こく)、即ち、大人1人が一年間に食べる米の量(約1000合)が獲れる田の広さを1反としていました。16世紀後半に豊臣秀吉が太閤検地というのをやって、それまで1反は360坪を、現在の300坪に変更してしまったのです。理由は、反当りの収量が増えたため、収量に土地の面積を合わせたというのです。当時は年貢を出来高の1〜2割納めていたわけですから要は増税です。太閤検地の前、3600坪が一反(1石)ということは、1坪はその大人の一日に食べる米の獲れる面積ということになります。360日を約1年として計算したのでしょう。このように、日本の尺貫法は、人の生活の実態尺度から・・・食する量から、田んぼの面積、面積単位が決まり、また、加賀百万石とか、十万石の大名等という場合の石という意味は、1石は大人1人が食べる米の量に相当することから、石高×年貢率と同じだけの兵士を養える財力と兵力を示すことを意味しているのです。昔は、ほとんどが今日でいうところの自然農や有機農であったのですが、収穫量も少なかったのです。現在では、農業技術の進歩から一般に1反で450Kgの大米が収穫できると言います。

その差は、というと・・・1石=10斗=100升=0.18キロリットル(180リットル)と容積で換算しているので、正確ではないですが、お米の比重を1.4と想定すると昔の1石は、180×1.4=252Kgということになります。現在の1反当りの収穫量と比較すると、450Kg/252Kg=1.8となり現在の収穫量は、1.8倍になっていると言うことです。豊臣秀吉が現代にいれば、1反の面積を、300坪から、168坪にまた変更したかも知れません。300×(252/450)=168坪

自分が生きるために食する米の量はどれくらいなのか?そして、それは、どれくらいの田んぼで、どれくらいの稲の株で出来るのか?〈ひと粒の米〉〈ひと株の稲〉〈一枚の田んぼ〉が、人と農業と社会と歴史まで、その意味を教えてくれます。