家の近くに柿の木のある借地があります。奈良公園の鹿が出入りするため畑や果樹園も難しいのです。鹿は、ほとんどの草や木の葉を食べてしまって砂漠のようになってしまいます。唯一鹿が食べない南京ハゼと、山椒の樹が所々にみえます。
数本の柿の木は高さが約7〜10m近くあります。小さな渋柿を秋に付けます。
晩秋の風景には風情があって良いのですが、小さすぎて干し柿にも出来ないほどです。
この柿の木をどうにか有効活用出来無いものかと思案のあげく、接ぎ木して食用の柿を実らせよう!と・・・昨年の9月頃に大きな柿の木を切って今年の春に備えました。
柿の木は、生命力の強い丈夫な樹です。
1.8m程の高さに切りました。
鹿が首を伸ばしても届かない高さが必要なのです。
柿を収穫するのも大変ですが・・・。
◎柿の接ぎ木
(1)今年の3月27日に、切り株から沢山の萌芽(ほうが・ひこばえ)が伸びています。
しっかりした接ぎ木の枝を選んでおいて、その他の枝は全て切り取ります。
(2)接ぎ木をする枝は、作業がし易い程度に10〜15センチほど残して切ります。
(3)穂木の準備。
継ぐ柿の枝を穂木と言いますが、これは今年の2月頃に継ぎたい柿の元気な枝を選んで、切り取って保存します。新聞紙を少しぬらして丸めて冷蔵庫に入れておきます。
今回は、甘柿の穂木と、渋柿の穂木を用意しました。
本当は、あの大きな百目柿の穂木が手に入れば良かったのですが・・・。
(4)接ぎ木の切り口に穂木を差し込むための切り口を入れます。
樹の外側に向かって切り口を入れます。カッターナイフで気を付けながら切りました。
(5)つぎに、3〜6センチほどの長さで接ぎ木をするのですが、穂木に新芽をひとつ以上残して、接ぎ木との接点の切れ目を先に入れてから切り離します。
接ぎ木と穂木を合わせる接点ですが、樹木の成長点部分をしっかり確認しておこないます。
成長点とは、樹木(枝も同じ)の一番外側にある皮の下の年輪です。
樹木の成長は、年輪をつくりながら成長します。
今年成長している年輪に当たる部分が成長点です。皮の下の緑色の層です。
(6)接ぎ木をするときに、接ぎ木と穂木の切り幅が異なる場合が多いので、穂木の左右どちらかの成長点(成長線)を、合わせるときにどちらかに寄せて、成長点をきっちり合わせて、接ぎ木様テープでしっかりと止めます。樹木は再生しようと成長点を延ばして切り口を塞ごうとします。
その植物の再生作用を利用するのが接ぎ木なのです。
(7)接ぎ木した後、その部分が乾燥しないように、スーパーの薄い袋を一重に、穂木の先端から、接ぎ木の切り口など、切り口を全て包み込むように巻きます。
空気も出来るだけ抜きます。雨も入らないように。
(8)最後に、直射日光を避けるために段ボールで日陰をつくります。
木の芽部分は包み込まないようにします。
以上で、完成です。
一本の木に2本ほど接ぎ木をするらしいのですが、念のために4本しました。
接ぎ木して約20日ほど経った昨日(4月17日)に見に行ったのですが、穂木の枝芽が膨らんでいました。接ぎ木が上手くいっている証拠です。今のところ順調です。
大きく芽が膨らんできたときにビニールの包みを破ってあげます。
一重に包んでおくと、勝手に破り出るようです。
「桃栗三年柿八年」と言われますが、大きな柿の木の接ぎ木なので・・・早ければ3年柿の実が成るかなーと、期待しています。
全部で5本の大きな柿の木を接ぎ木しました。これからどうなるか楽しみです。