●ミツバチと言ってもいろいろあります
地球上で確認された昆虫は約95万種です。その内の約12〜15万種がハチの種類(ハチ目)の仲間でが、ミツバチと言われるミツバチ科の昆虫は、世界中に広く分布しているにもかかわらず10種以下と極端に少ないのが特徴です(佐々木正巳2003)。
ミツバチの種類
(1)マルハナバチ(約300種)
(2)ハリナシバチ(約500種)
〈開放的な空間に巣を作る種類〉
(3)オオミツバチグループ(4)ヒマラヤオオミツバチ(5)コミツバチ(6)クロコミツバチ
〈閉鎖的な空間に巣を作る種類〉
(7)セイヨウミツバチ(アフリカ・中近東、ヨーロッパに24亜種)(8)トウヨウミツバチグループ(インド、中国、日本亜種)(9)サバミツバチ
以上が、おおまかなハチの分類です。
●大和ミツバチ(ニホンミツバチ)
そのミツバチの日本在来種の(8)トウヨウミツバチグループでの特に日本亜種(ニホンミツバチ)です。
我々はこの日本古来の野生種であるニホンミツバチを、大和ミツバチ(ニホンミツバチ)と書き、呼んでいます。
ニホンミツバチを説明するには、まず(7)セイヨウミツバチを説明する必要があります。
ほとんどの方は、ミツバチと言えば一種類と思っているのです。そして、その一種類のミツバチが作っていると思っておられるかたがほとんどです。
●蜂蜜の種類
現在、皆さんがハチミツと呼んでいるモノのほぼ100%が、セイヨウミツバチのハチミツ(西洋蜜蜂ハチミツ)です。前述したように、ミツバチには10種類近く存在し、ハチミツも存在していますが、セイヨウミツバチ以外は、野生種ですから非常に生産量も少なく、市場に出回ることは希です。
問題なのは、セイヨウミツバチの純粋なハチミツといっても、なかなか本当に自然のハチミツに出合わない、否、出合っていないのが実状ではないでしょうか。
皆さんが、ハチミツと思って購入しているモノは本物でしょうか?
その中には営利目的で行うために、下記のような多くの問題点が存在しています。
a.ミツバチに砂糖や水飴、オリゴ糖を意図的に給餌するか、また直接砂糖や水飴、オリゴ糖を混ぜたものをハチミツとして販売する。
b.糖度(糖分の割合)が低いハチミツを販売する。この場合、ハチミツが発酵して味や風味が変化する、また酸味が出て食用に向かない場合があります。
c.bの場合に、ハチミツを発酵させないために加熱処理を行って販売する。この場合、ハチミツ本来の生きている自然の酵素や栄養分などが死滅して、単なるハチミツ液になってしまいます。
ミツバチの生きた自然なハチミツは、それぞれの種によって特徴がありますが、人為的に歪められることが多々あるようで、これらを規制するのは日本では実際は難しいようです。
※佐々木正巳(2003)『養蜂の科学』昆虫利用科学シリーズ(5)、(株)サイエンスハウス。
※画像は、トウヨウミツバチの亜種のニホンミツバチです。