AgriArt「苗代作り」01:不耕起自然農法でのお米づくり

2012年の不耕起自然農法でのお米の苗床作り(種下ろし)を4月28日に行いました。

◎自然農の苗代づくり

「苗代」とは、稲の苗を育てるために「苗床」という場所をつくります。そして、その苗床にお米の種「籾(もみ)」を蒔いてお米の苗を作ります。
「種下ろし(たねおろし)」とは、田畑に作物の種を蒔くことを言います。

さて、今年の苗代づくりには、自然農をやりたいという友人知人が10名近く集まりました。皆、自然農は初めての方です。
私たち夫婦の自然農法は、道具もお金もほとんどかかりません。気楽に始めること・・・これが肝心です!
今回は、残念ながら私が忙しくて・・・写真を撮ることが出来ませんでした。
ですから、以前(2010年4月)の記録「自然農の苗代づくり」を掲載しておきます。

(1)苗代の周りの溝掘りと草刈り

田んぼの端にお米の苗を作るための苗代を作ります。
管理や作業がやりやすそうな適当な場所を選んでください。

自然農の苗代は、野菜の苗を畑で作るのに似ています。
一昨日、やっと雨が止んで、昨日苗代の周りの溝掘りと草刈りを済ませています。
刈った草は苗代となるところの周囲に置きます。溝掘りを前日に行うのは、苗代の排水を良くすることと、ひっくり返した土を少し乾燥させておくためです。
その使い方は、後で説明します。

(2)田んぼにあった苗代の大きさと種の量

【画像1】

1反(1反=10畝=3000坪)の田んぼに植えるために必要な苗の数は、(苗は、40センチ×25センチ間隔で、一本ずつ植えるので)約7000〜8000本でしょうか。
余分に作って、必要な分を使うために、約7合の籾種を蒔きます。
今年の我が家は、主食の白米(ヒノヒカリ)は約1/2反(5畝)の田んぼで育てるために、約3〜4合ほどの種を蒔きました。
もう少し小さい、二つ目の田んぼはでは、黒米を植えてみようと思います。
苗代は、大体同じ大きさ、種も同じ量です。
苗代の広さは、1m×5mほどの広さです。
苗は、小さな苗より大きな苗を優先的に植えるようにします。足らないのは困りますから、余るように作ります。
種籾は、昨年、稲刈りしたときに種用として選んでおいた籾を使います。
苗代作業の前に、水の入ったバケツに、籾を入れて、沈んだ籾を使います。(実の詰まった籾を使うため)沈んだ籾は、ザルで乾かしておきます。

(3)苗代の上土の除去

【画像2】

苗代用に事前に草を刈ったところに種を蒔くため、表土を2〜3センチ取り除きます。本来は、鍬(くわ)で行います(画像3)。
今回は、雨の影響で土が湿っているため、鍬ではなくスコップですくって取り除きます。
これは、種の発芽の環境作りのためで、阻害する草を取り除くことと、土の上にある草の種も同時に取り除くためです。ですから、すくった土はこぼさずに運ぶ注意が必要です。
この段階をきっちりやれば、米の苗が育つときに、他の草は余り生えずに、管理も田植えも楽です。

(4)浅く掘り起こす

【画像3】

次に、上土を除去した後の土を、3センチほど掘り起こします。
苗の根が伸びやすくするためです。
このときに、苗代が水平になるように調整しながら作業を進めていきます。

 

 

 

【画像4】苗代を平らにならします。

 

 

 

【画像5】そして、鋤の裏やスコップの平らな面で、苗代を少したたいて固めます。

(5)種まき

【画像6】

ならした苗代に、籾種を蒔きます。
全体にバランス良く、行ったり来たりして蒔きます。
種と種の間隔が、約2センチが目安です。
苗は、約20センチ(稲の葉が5枚=5葉※)ほどに育てますが、土と一緒にそぎ取って、一本ずつほぐしながら田植えをしますから、絡まないように、種と種の間隔を開けることが、田植え作業の効率を上げるのです。ちなみに、田植えは当然、手植えで行います。種との間隔を調整します。※自然農では、苗を5葉まで大きくしてから田植えする方が活着するようです。慣行農の田植機では3葉の苗植えが一般的です。

(6)土で種を覆います

蒔き終わった苗代の上を土で覆います。
覆う土の厚さは、籾が隠れたらよい程度、薄く覆います。
このとき使う土が、一昨日掘った溝のひっくり返した土です。
ひっくり返した、田んぼの中にあった土をノコギリ鎌やスコップで丁寧にとります。
そして、軍手の手袋を下手で、土の固まりをもみほぐし、細かくばらしながら種を薄く覆っていきます。
田んぼの中にあった土には、すぐに芽を出す種が入っていないので、好都合なのです。
また、一日前に溝掘りするのは、土を少し乾かしておかないとほぐせないからです。
これは、天気や田んぼの湿度の状況によって異なりますが、田んぼが乾いていれば、溝掘りと苗代づくりは同時に行っても構いません。
土を伏せた後は、鍬かスコップの平たい部分で少したたいて引き締めておきます。

(7)苗代の仕上げ

たたいて引き締めた土の上に、周りにある草を刈って載せておきます。
直射日光に当たって、乾きすぎないために行います。
発芽を成功させるために、適度な湿度を保持させるための役割の草置きです。
太い草や、大量の草は種が芽を出すのを邪魔しますから避けます。
1週間もすれば、草はしなびて、枯れはじめ土に帰ろうとします。
苗が発芽して成長する段階では必要なくなりますから、ちょうど良いんです。

(8)鳥よけの工夫

【画像7】

最後に、鳥が種を狙って来ないように、鳥よけ網か、細い葦や竹を縦横にバリヤのように囲います。
置いたり、指したりして鳥の羽が当たるであろうことをイメージして行います。
地域にもよりますが、カラスや雀は、確実に蒔いた種を狙っています!

◎以上で、苗代の出来上がりです

水は出来るだけ浸してやる方が良いですね。雨が降らなくて土が乾く場合、気になれば時々水を引き入れます。
大体、予定では6月初旬まで約50日ほどを目安に苗が生長するのを見守ります。
途中、他の草が混ざっていないか確認すること、そしてその除去作業が1〜2回必要かも知れません。
それから、自然農の場合、苗代にも肥料も何も施さないのですが、唯一やるとすれば、苗代完成後に米糠を少し振りかける程度です。

今年は、気温が上がらず作物の成長が遅い状況です。
自然を相手にした昔の専業農家であれば、背筋が凍るほどの飢饉を想像するのではないでしょうか?
生きるための農業、自給自足の農業のためのその方法の選択について、本当に気候変動に強いのかどうか、今年は自然農が試される年であるかも知れません。