女王蜂専用の産卵飼育場「王台」と分蜂

春、暖かくなると蜂たちは活発に密と花粉を集めます。仲間を増やすのです。
そして、コロニー(蜂の群社会)を増やすために分蜂(コロニーの増殖分割)の準備をおこないます。
今いる女王蜂は、新たな女王蜂の母蜂です。
働き蜂は、新たな女王蜂のために「王台」(写真矢印)という女王蜂専用の産卵飼育場を造ります。新女王蜂候補者のために複数造ります。

母蜂は、王台に卵を産み、働き蜂はローヤルゼリーを与え、次の女王蜂は羽化するまて王台で育てられます。
春の繁殖期(分蜂期)には、王台先端部の蓋がかじり取られ、繭(まゆ)が露出します。そして数日後に分蜂が起こります。
※分蜂時期を予想するには、王台先端部の蓋の状態で確かめます。
写真では、王台は6つ確認され、実際には3回の分蜂が確認されました。その他の王台は、働き蜂によって処分されるようです。

最初、生まれる女王蜂は、長女蜂になります。
最初の分蜂では、長女蜂が生まれる頃に、母女王蜂が働き蜂の群を連れて巣を出ます(分蜂)。
そして、新たな巣を見つけてコロニーを増やしていきます。
コロニーが分蜂するためには、働き蜂の数も増えて、ハチミツも沢山溜める必要があります。
コロニーの勢力(女王蜂の勢力)によって強弱があります。
余裕のあるコロニーは、2(次女王蜂)〜3回(三女王蜂)と分蜂を繰り返します。
余裕のないコロニーは、分蜂できないものもあります。

また、女王蜂が巣の中に2匹以上いる場合は、殺し合いになると言われます。
ですから、働き蜂はコロニー・巣・気候の状況を考慮しながら、次の女王蜂の誕生と分蜂をコントロールしているようです。

ちなみに、人間社会では家族が沢山増えた場合、母親が家を出て娘が残るという場合は少ないですね。
ニホンミツバチの場合は、嫁と姑問題も無く平和を維持する生態が備わっているようです。